


コンセプト&プラン
WRCとは
Wall Reinforced Concrete:壁式鉄筋コンクリート
鉄筋コンクリートの耐力壁と床スラブで構成されるボックスが基本の構造形式です。
一般的に鉄筋コンクリート造で用いられている構造形式はラーメン形式(架構形式)で柱と梁及び耐震壁で構成されていますが、小規模な建築にはWRCの方が壁が構造体と兼ねるためコストが抑えられ、細かく仕切る住宅のプランニングには対応しやすいのです。
WRCの建物は、兵庫県南部地震等過去の震災被害調査において耐震性が高いことが検証されています。また、プランニング、仕様の選択、施工の合理化等により、コストの抑えられる可能性が高い構造形式です。
今回、その構造形式の特徴を捉えて、ボックスを組み合わせて作る空間構成を検討して、コンパクトで、シンプルで、コストパフォーマンスが高く、少し上質な住宅をプランニングしました。
WRC構造形式について概略の説明もさせていただきますので、WRC住宅を御自宅の計画検討の参考にしていただけたら幸いです。
実際の計画においては、各々の敷地、周辺の状況、法規制、様々な御要望に対応して検討を重ね設計しますので、設計事例として参考にしていただき、ぜひ御依頼の検討をしていだければ、と思います。
なお、表示金額は設計上の目標工事金額であり、実施の際には基本的に各施工業者に競争見積を依頼し、最低金額提示業者を採用することになりますので、世情、地域、各施工業者の事情により金額は変動します。
WRCの構造規準と構造設計
おおまかな規準として、地上階数5以下、階高3.5m以下、軒高20m以下とし、壁率・壁量規定、耐力壁の構造、壁梁の構造等があり、これらに適合する必要があります。
その上で許容応力度計算をし構造設計をします。(平成12年に階高3.0m以下、軒高16m以下から緩和)階高3.5mを超える場合や壁率・壁量規定を満足しない場合は、「保有水平耐力の確認」が必要になり、構造計算適合性判定の対象になります。
WRCの特性と設計留意点
耐久性
他の構造に比べ高いとされています。
(コンクリートの風化、※中性化に対処することが望ましい。)
※ コンクリートの中性化: コンクリートはアルカリ性で内部の鉄筋を保護しているが、特に外部環境において徐々に中性化され鉄筋を酸化する。かぶり厚さの確保、打増し、塗装、外装等で保護し対処。住宅の減価償却の法定耐用年数は47年(木造住宅は22年)とされています。
耐震性
初めにご紹介しましたが、過去の震災被害調査においても耐震性の高さは実証されています。正しく規準を運用し、構造設計をすることが前提です。
断熱性
コンクリート自体は断熱性はほとんどありません。
ゆるやかに熱を蓄熱(冷)、放熱(冷)します。このため、一般的に発砲ウレタンやポリスチレンフォーム等で内断熱をします。また、EPSボード等で外断熱にすることができます。(内断熱か外断熱の選択は、その地域の気候や冷暖房機器の使用勝手、外装デザイン、内装デザイン、コスト等で検討しましょう。)私の自宅は内外コンクリート打ち放しの無断熱ですが、内外コンクリート打ち放しの無断熱でもこのあたり(豊橋)の気候でしたら冷暖房の効率は悪いですが、住めないことはないです。学校の校舎の寒暖のイメージでしょうか。暑さ寒さの感じ方は個人差が大きいのであまりお勧めはしていません。このことを理解の上、ワイルドな生活感が望みあれば住みこなせると思います。コストは非常に安くできます。
気密性
シームレスに覆われますので気密性が高い。(開口部のサッシュ等の性能次第換気、通風計画が肝要です。
遮音性
シームレスに覆われ、コンクリートは重量があるため、遮音性が高い。(開口部のサッシュ等の性能次第)音の面でのプライバシーが確保されます。
耐火性
コンクリート自体は燃えず、遮熱性も高い。法的に耐火性能を要求される場合でもコストアップせず対応できます。
プランニングの自由度
法の緩和、学会規準の整備により自由度がある程度上がりました。ただし、この構造は耐力壁の配置・量に特に留意して設計しなけれなりません。構造体が長年使用可能なため、可変可能部分を明確に分け将来への対応するフレキシビリティーのあるプランニングを考えなければいけません。
基礎
鉄筋コンクリートの建物は重量があるため、基礎も慎重に設計しなければなりません。地盤調査(ボーリング調査)を必ず実施し、その結果より直接基礎もしくは杭基礎にするか判断し 詳細を設計します。